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春画の効用 その13

二番目の句では武蔵棒弁慶は具足びつにあの本を入れなかったと読まれていますが、それ以上なんの説明もありません。

それでも当時の読者はただちに句の意味を魅了したのでしょう。弁慶は一生に一度しか助成と交わらなかったと伝えられるほどの女嫌いでした。したがって彼の鎧びつには男女の交接を描いた春画など入っていたはずはないというわけです。

川柳だけではありません。鴎外の「キタ・セクスアリス」にも、十歳の時、蔵の二階にあった鎧びつの中に春画を発見した主人公の体験が活き活きと記されていました。

僕は何の気なしに鎧びつの蓋を開けた。さうすると鎧の上に本が一冊のっている。あけてみると、きれいに彩色のしてある絵である。そしてその絵にかいてある男と女とが異様な姿勢をしている。