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春画の効用 その⑤

言われてみればもっともな理屈と鳥羽僧正は黙してしまうしかなかったというのが、話の筋でした。

法師の反論の言葉から、鳥羽僧正の在世当時すでに春画が一つのジャンルとして成立していたことがうかがえるでしょう。同時に性器を極端に誇張して描く後の枕絵の手法が、すでに十一世紀から採用されていたことも分かるのです。

性生活の友

わが国の春画の歴史は、その後「小柴垣草紙」「稚児草紙」といった名品を生んだ後、江戸時代の錦絵の世界で全盛期を迎えるのですが、その詳細は美術史、風俗氏史研究書を読んでいただくこととして、以下ここではもっぱら、春画の効用についてお話いたしましょう。

先日たまたま書店で「川柳春画志」(花咲一男)という本に出会いました。題名通り川柳・雑俳の中から春画を詠んだ句を拾って解説を加えたもので、読み物として面白いばかりでなく資料集としても貴重な一冊です。なにより江戸の昔に春画がどのように鑑賞されていたか、川柳・雑俳の生々しい表現を通してかいま見られる点が素敵です。本を開くと、たとえばこんな句が眼に飛び込んでくるという具合。

馬鹿夫婦春画を真似て手をくじき

無理に春画の真似をして筋違

解説は必要ないでしょう。夫婦あるいは恋人愛人間で性のさらなる愉悦を追及して経験を体位に挑戦する。その教科書(図解入り手引き書)として春画を用いた例です。(ところがあまり無理な姿勢をとったので、筋を違えたり手を挫いたりして大弱り、というわけです)

【川柳春画志】

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