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死体に群がる見物人 ③

死体見物流行の風潮の中で、「化政厳秘録」にはこんな滑稽な出来事も記録されています。文政十二年三月二十九日、丸山という所の路傍らに男女の心中死体発見!との巷説にに、例によって見物人が殺到。ところがいざたどり着いて見ると、そこにはただ作業に疲れた草刈の男女が並んで熟睡していただけだったとか。笑ってしまうような話ですが、この話は当時の死体フィーバーを余すところなく語っているといえましょう。

異常死体に対して注がれた人々の厚い眼差し。なかでも”人気”は、心中死体でした。

再び鳥取藩の記録をひもとくと。文政五年三月十二日の明け方、草野宗玄なる者が馴染みの女性と情死を遂げたときも、「府下の人、是を伝聞て見物に行者として不絶」、鳥取城下の人々が列をを成して押しかけたとか。ちなみにこのケースは誤報ではなく正真正銘の心中で、お互いに相手を突く力が弱く死にいたらず、血まみれになって「転々悶乱」していた所に、見物人が群がったのだそうです。